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「逃げたら一つ、進めば二つ」(にげたらひとつ、すすめばふたつ)とは、TVアニメ『機動戦士ガンダム 水星の魔女』に登場するセリフ。主人公のスレッタ・マーキュリーが母親から教わり、作中でもたびたび口にしている。彼女にとって「背中を押す呪文」となっている。
本編で初出のセリフは、以下の通り。
「お母さんが言ってました。逃げたら一つ、進めば二つ、手に入るって。
逃げたら負けないが手に入ります。
でも進めば、勝てなくても手に入ります。
経験値もプライドも信頼だって」
このセリフからは「逃げて得られるものは一つだが、進むことでより多くのものを得ることができる」というニュアンスがうかがえる。本作ではスレッタに限らず、その他多くの登場キャラクターたちが「逃げるか進むか」を選択し、その結果得たものや得られなかったもの、その後の自他への影響などが掘り下げられている。
「逃げたら一つ、進めば二つ」は、作中の印象的なセリフに留まらず、本作の重要なテーマのひとつと考えられるかもしれない。
作品自体のヒットに加え、日常生活に取り入れやすいセリフであることから、放送開始の2022年から2023年にかけてインターネットを中心に広まった。
2023年にpixivとniconicoが共同企画した「ネット流行語100」では、第83位にランクインしている(※1)。
5歳のスレッタが注射を嫌がった際に、母親が勇気づけるために「逃げたら一つ、進めば二つ」と伝えた。
母親は注射から逃げれば「痛くない」が手に入るが、進めば「病気にならない」「お母さんが喜ぶ」「水星の人たちが褒めてくれる」「スレッタのレベルが上がり注射が痛くなくなる」などが手に入ると諭している。
実際のやり取りは、
母「逃げなかったら、逃げるよりいっぱい手に入るんだよ」
スレッタ「だから、進めば二つなの?」
母「そう。二つ以上」
であり、これ以降スレッタにとって「背中を押す呪文」となる。
またこの会話は、本作のシリーズ構成・大河内一楼氏が書き下ろした小説『ゆりかごの星』内に記されているもの。
また本小説は、第1弾オープニングテーマ『祝福/YOASOBI』の原作小説でもある(※2)。
「今日は勉強をサボろうかと思ったけど、逃げたら一つ、進めば二つなのでやっぱり勉強を頑張ります」
「(ソシャゲのガチャ結果を添付して)逃げたら一つ、進めば二つ」
「『逃げたら一つ、進めば二つ』のルールにしたがって、新しいことにチャレンジしようと思います」
「仕事を休めば自由になれるけど、出勤すればお給料が手に入る……逃げたら一つ、進めば二つ……」
「お母さんが言ってました。逃げたら一つ、進めば二つ手に入るって。逃げたら痩せた体が手に入ります。でも進めば、勝てなくても手に入ります。カロリーも満腹感も贅肉だって」
▼主題歌の歌詞にも影響
「逃げたら一つ、進めば二つ」のフレーズは、本作のオープニング&エンディング主題歌にも類似フレーズが登場している。
・第1弾オープニング主題歌『祝福/YOASOBI』
「逃げ出すよりも進むことを君が選んだのなら」
・第2弾オープニング主題歌『slash/yama』
「1つ 怖気付いて後悔する将来よりも 2つ 殻破って進めば広がる世界」
▼主演声優も「印象深い」
スレッタ役の市ノ瀬加那氏も、このセリフが印象深いと語っている。第2シーズン放送前のインタビューでは「初めは前向きな希望の言葉だったが、だんだん不穏になってきた」「最後にはいい言葉になってほしいが……」という旨のコメントをしている。
▼前後の内容を工夫する遊び
前後の文面を工夫することで、様々な内容に利用できるため、オタク構文としても人気がある。
作中のスレッタのセリフになぞらえると、
「お母さんが言ってました。逃げたら一つ、進めば二つ手に入るって。逃げたら◯◯が手に入ります。でも進めば、◯◯がなくても手に入ります。◯◯も◯◯も◯◯だって」といった形式になる。
※1
「ネット流行語100」2023 2023年12月14日発表
https://site.nicovideo.jp/nettrend100/2023/
※2
小説『ゆりかごの星』
https://g-witch.net/music/novel/
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