顔パンツ(かおぱんつ)

「顔パンツ」の意味

「顔パンツ」(かおぱんつ)とは、マスクは顔のパンツであるとの意味。

新型コロナウィルス(COVID‑19)の影響で、外出時にマスクを着用する習慣が身についている人の中には、人前でマスクを外すことは、下着を脱ぐことと同じぐらい恥ずかしいことだとの意味合いが含まれている。とくに子どもや若者の間でそのように考えられることが多く、コロナ収束後もマスクを手放せない者が出てくるのではないかと、警鐘を鳴らす専門家もいるほど。
脱マスクに向けて、大きなハードルとなる可能性のある問題だとして注目を浴び、2022年ユーキャン新語・流行語大賞にもノミネートされた。

似たような感じ方は1000年ほど前にも存在しており、平安時代や鎌倉時代は成人男性が人前で烏帽子を取って頭髪をさらすことは無礼なことで下着姿をさらす、人前で下着を脱ぐよりも恥ずかしいと考えられていた。

「顔パンツ」の認識が与える影響

常にマスクを外さない人が増えることで、コミュニケーションに悪影響が出るのではないかと懸念されている。
心理学者アルバート・メラビアン博士が発表したメラビアンの法則では、人と人のコミュニケーションにおいて人間が受け取る情報は、言語情報が7%、聴覚情報が38%、視覚情報が55%と、半数以上は視覚からの情報と、視覚が占める割合は非常に高い。

人間は話している内容や声の抑揚以上に、話しているときの表情から情報を得ようとしていることがわかる法則だが、この法則でいえばマスクによって半数以上情報が遮断されていることになる。そのことが原因でコミュニケーションをうまく取ることができず、コミュニケーションロスを多く引き起こすのではないかと専門家の間では問題視されている。

また、コミュニケーションロスにおける悪影響として、人間関係の構築の難しさや高齢者の認知症リスクなどが挙げられる。

まず人間関係の構築の難しさについてだが、マスクによって顔の下半分が隠れることにより、目元のみで人を判別する必要があるため、なかなか人の顔を覚えるのが難しい問題が発生する。視覚情報が少ないため情報と情報の結びつきが困難となった結果、相手に関する情報が薄いものとなり、人間関係の構築においてマイナスとなってしまう恐れがある。

高齢者の認知症リスクとして、耳が遠くなった高齢者にマスク越しでの会話はハードルが非常に高く、迷惑がかかるからと聞き返すこともできず、どんどん会話が減って人との交流が疎遠になる問題がある。人との交流が疎遠になったことで、認知症リスクが高まる可能性があると、高齢者における影響も大きいとされている。

このことから、マスクを外すことがパンツを脱ぐことと同じくらい恥ずかしいとの認識が今以上に広く浸透すると、コロナ収束後におけるコミュニケーションへの影響は決して小さくないと言えるだろう。

「顔パンツ」の活用例

顔パンツは、SNSを中心に流行した造語。
元々はマスク否定派がマスクをする人に対して、嘲笑の意味を持って使われたことが由来と言われている。

使用例:
「頑なにマスクを外さないなんて、マスクを顔のパンツとでも思っているのか」

現代の使用用途には嘲笑の意味合いよりも、心理的要素を伝える際に用いられることが多い。
「顔のマスクを外すことは、パンツを脱ぐことと同じくらい恥ずかしい」は、まさしくその意味合いが含まれた言葉と言えるだろう。
ただ、顔パンツの言葉を使う際は、注意しておきたいことがある。
NHKの公式Twitterアカウントで「マスクは顔パンツ?」と見出しに使用した記事紹介をツイートしたところ、下品な言葉だ、マスク着用を守っている者を侮蔑していると、批判が殺到した。NHK公式はその後に当該ツイートを削除した経緯があることを考えると、人によっては不快に感じる言葉であると推測される。

「顔パンツ」の言葉を使用する際は、不快に思う人がいるかもしれないことを念頭に置いたほうが良いだろう。
とくに公然の面での使用は避けたほうがよいかもしれない。

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numan編集部

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