夏に行きたいアニメの聖地巡礼4選。『千と千尋の神隠し』は台湾・九份じゃなかった…!?

アニメ作品のなかには、現実とは完全に乖離したファンタジックな世界観のものもあれば、現実とリンクした舞台の作品もあります。そして、現実の土地が舞台だったりモデルになっていたりすると、「聖地巡り」もファンの楽しみになってきますよね。

今回は、まったく同じ世界には行けないけどその片鱗を感じることができる、夏にぴったりなちょっと「クセ強めな聖地巡り」を楽しめるアニメを紹介します。

TVアニメ「ゴールデンカムイ」公式サイト

TVアニメ「ゴールデンカムイ」公式サイト

『千と千尋の神隠し』東京、愛媛など

国民的大ヒットアニメ映画で「聖地巡り」というと、飛騨高山への聖地巡礼ブームを作り出した『君の名は。』が浮かびますが、それを上回る大ヒットを記録したスタジオジブリのファンタジー作品『千と千尋の神隠し』も、いろんな場所で聖地巡りに近い体験ができます。
『千と千尋の神隠し』

『千と千尋の神隠し』

© 2001 Studio Ghibli・NDDTM
via 『千と千尋の神隠し』
まず、怪しげで雑多でちょっと湿った雰囲気のレトロな夜の歓楽街として、『千と千尋』の「湯屋」に似ていると話題になったのが、台湾北部の山あいにある新北市にある街・九份(きゅうふん)です。中国風の建築と日本占領時代の和の雰囲気がマッチし、山あいゆえに雨が降ると霧も立ち込め、いかにも幻想的な空気感になります。
筆者も台湾旅行で訪れましたが、ちょうど雨が降った夜の九份は、暗がりも多く、階段を上ってわき道にそれたらそのまま異世界に迷い込んでしまいそうな「ちょっと怖い美しさ」がありました。
『千と千尋の神隠し』場面写真より

『千と千尋の神隠し』場面写真より

© 2001 Studio Ghibli・NDDTM
via 『千と千尋の神隠し』場面写真より
しかし、実は宮崎駿監督は台湾記者からのインタビューで「九份は『千と千尋』のモデルではない」と答えていたようです。そのインタビューで、宮崎監督は「松山の『道後温泉本館』と『江戸東京たてもの園』にある『子宝湯』を参考にした」と回答。

道後温泉の木造3層の温泉宿や、東京都小金井市の「江戸東京たてもの園」は確かに「油屋」にそっくりです。国内でより身近に行きたくなるモデルもありました。

ただ、温泉街、温泉宿は訪れるお客さんに非日常を味わって癒されてほしいという目的から、基本的に幻想的でレトロな懐かしさも感じられるような景観が全体的に多いです。実際、ジブリには全国のいろんな温泉宿から「うちがモデルではないか」という問い合わせが来たとのこと。
つまり、どこがモデルかにこだわらずとも、『千と千尋』っぽい雰囲気の街や建物は津々浦々にあるということなのです。どこに温泉旅行に出かけようと、こちらが『千と千尋』っぽさを探せばある意味聖地巡りができる……と考えることもできます。

『ゴールデンカムイ』北海道

明治時代の物語とはいえ、作者・野田サトル先生の綿密な取材によって数々の北海道の名所がしっかり再現されている『ゴールデンカムイ』。大雪山など数々の厳しくも美しい大自然の土地土地はもちろん行ってみたいですが、ちょっと危険なので、まずは建物探訪がおすすめです。
杉元とアシリパの旅の始まりの土地・小樽では、北海道の民家で初めて文化財指定された「鰊御殿」や、「にしん御殿 小樽貴賓館」(鶴見中尉がピアノを弾く場面が蘇ります)など、安く入れる歴史ある建物を訪れることができます。
また、ウイルクと二十四人の脱獄囚たちがいた、物語の始まりの土地ともいえる網走監獄も、現在は「博物館 網走監獄」として見学可能。5方向に放射状に延びた獄舎の作りと、5方向すべてを見張るための「中央見張」の詰め所を見ると、門倉看守部長や宇佐美、網走刑務所でのさまざまな策謀入り乱れる戦いが脳裏によみがえります。

『四畳半神話大系』京都

フジテレビノイタミナ枠の伝説の人気アニメ『四畳半神話大系』は、森見登美彦さんの人気小説が原作の作品です。

京都出身の森見さんのマニアックな京都ネタも詰め込まれており、天才・湯浅政明監督の自由闊達でファンタジックな世界観はありつつも、「京都のあそこか、行ってみたい」と思う京都観光促進要素もあるアニメでした。

主人公の「私」が住む下鴨幽水荘のモデルになった京都大学吉田寮・銀月アパートメントや、オープニングに登場する加茂大橋近くの鴨川デルタ、「私」がサークルを選ぶきっかけであり、何度も時系列を繰り返すきっかけとなる「京都大学 百周年時計台記念館」など、アニメを見ていれば絶対に行きたい名所を割とすぐにパッと回れるのが魅力です。

『この世界の片隅に』広島

こうの史代さん原作の同名マンガを『マイマイ新子と千年の魔法』の片渕須直監督がクラウドファンディングまでして作り上げた映画『この世界の片隅に』は、もうなくなった広島市や呉市の店や民家まで徹底的なリサーチで再現された作品です。特に呉市には、太平洋戦争に翻弄されながらも必死に生きた一人の女性・すずさんの人生、日常を感じられる施設が多く残っています。
現在も海上自衛隊の基地がある呉港は、かつて日本最大級の軍港であり、すずさんや晴美ちゃんが眺めたり絵を描いたりした重要な土地です。そのそばにある、呉市海事歴史科学館は「大和ミュージアム」もあり、当時の勉強にもなる重要資料も多数あります。
また、すずさんと周作さんがふたりきりでデートしたり、重要な話をしたりする呉市の中央を流れる堺川にかかる「小春橋」は、作中屈指のロマンチックなスポットで、何度も見ているファンにはたまらない場所でしょう。
どの作品も厳密な世界観や時代設定は実際の土地と一致しなかったり、雰囲気が違ったりしますが、見ていて「こんな場所に行けたら」と思っていたら、モデルの土地があるだけでうれしいものです。コロナも落ち着いてきたので、ぜひ訪れてみてはいかがでしょうか。
(執筆:今泉)
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numan編集部

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