『ブルーピリオド』の言葉は痛々しいほどリアル。理想と現実に悩む人へのメッセージとは

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『ブルーピリオド』の言葉は痛々しいほどリアル。理想と現実に悩む人へのメッセージとは
「アフタヌーン」(講談社)で連載され、アニメ化も控えている人気マンガ『ブルーピリオド』の名言とは? 創作をする人だけでなく、人生そのものにも通じる言葉をご紹介します。
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幼いころから大人なるになるまで、ずっと私たちの身近にある漫画やアニメ。
キャラクターが発した台詞が心から離れない、という経験をした人は多いのではないでしょうか。
これまでを振り返ってみると、何気ない台詞が自分に影響を与えていた……なんてこともあったはず。

作品の“名言”を振り返る本シリーズ。
今回は「アフタヌーン」(講談社)で連載され、アニメ化も控えている人気マンガ『ブルーピリオド』の名言をご紹介します。
映画やアニメなどエンタメライターとして活動する、安藤エヌさんに影響を与えた言葉とは?

※なお、本記事は性質上、作品の内容を含みます。

『ブルーピリオド』1巻(講談社)画像

『ブルーピリオド』1巻(講談社)

「好きなことをやるって いつでも楽しいって意味じゃないよ」

「好きなことをやるって いつでも楽しいって意味じゃないよ」
(『ブルーピリオド』第3巻より)

好きだからがんばれるって、本当にそうなのかな。

主人公が自分の描いた絵に囲まれてぽつりとつぶやいたセリフに心を奪われてから、ずっとこの言葉の意味について考えています。

『ブルーピリオド』は、何事にも全力を出さずして卒なくこなす器用さが長所の高校生・矢口八虎が、ひょんなことから美術の世界の扉を叩き、芸大入学を目指して奮闘するアートスポ根マンガです。今まで何にも熱中してこなかった八虎が、初めて夢中になって追い求めたのは美術、という正解のない芸術の域。

さまざまな困難に突き当たりながら、八虎は自分にしか描けない絵を追求していくのですが、その道のりは決して生やさしいものではありません。
自己と向き合う日々が続き、ただ「楽しい」というだけでは貫くことのできない厳しい世界に身を投じていることを自覚し、苦悶します。
八虎だけではなく、芸大を目指すキャラクターたちがそれぞれに自分の中の表現と向き合うなかで悩み、葛藤するさまは、本作の魅力のひとつでもある「痛々しいほどのリアル」を読者に感じさせます。

そんな『ブルーピリオド』を読んで、主人公の八虎に自分自身を投影させる読者も少なくないと感じたのですが、私もそのうちのひとりでした。
美術というベクトルでなくても、創作活動をしたり、好きなことを仕事にしている人なら、誰しもが八虎の発した言葉の前に立ち止まり、考えるのではないでしょうか。そう、私も同じことを思っていた、と。

『ブルーピリオド』3巻(講談社)画像

『ブルーピリオド』3巻(講談社)

好きなことだから頑張れる、は本当?

好きなことだから頑張れるんだ、という文言をよく耳にしますが、はたして本当にそうでしょうか。

もちろん、自分にとって興味の持てる、持続して取り組むことのできる対象は、自分にとっての「好きなこと」であるに越したことはありません。

しかし、そうして向き合い続けているうちに、必ず「好きなことだからこそ極めたい」という気持ちと「練磨と習練の難しさ」にぶつかります。好きだからこそ、もっとうまくなりたい。もっと良いものをつくりたい。
そんな気持ちで取り組むにつれ、力をつけていくことやスキルを磨き上げていくことの深さと難しさに打ちひしがれる日々――。

主人公の八虎と同じく、彼にとっての絵を描くことが「文章を書くこと」だった私は、文章というものに向き合い、初めて彼と同じ「本気の激情」を覚えました。
「もっとうまくなりたいのに、なれない。自分の思うような文章が書けない。好きだから続けられるというのは、楽しいから続けられるという意味ではない」ということに気づいたのです。
「好き」だからこそ、「好き」という気持ちだけは乗り越えられない、立ち行かないことがある。そんな感情を覚えて、私はライターとしてまた1歩成長できた実感がしました。

難しい問題に直面して、改めて「自分は文章を書くことに対して”覚悟”ができているのか?」と自問自答し、それでも書き続けたい、という答えが出せたからこそ、今の私につながっているのだと感じられました。

生き方そのものにも通じるメッセージ

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