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今作に登場する様々なキャラクターの魅力を解説する本連載コラム、炭治郎&禰󠄀豆子や我妻善逸や煉獄杏寿郎らに続き今回ピックアップするのは胡蝶しのぶです。
第一印象から受ける柔らかな物腰と優雅な振る舞い。いつもやんわりと微笑むその優しそうな所作からは想像も付かない、彼女の胸の内に潜む激情。その秘密にスポットを当てていきましょう。
※本記事は性質上、アニメ未放送の原作内容を含みます
INDEX
しかしそんな彼女が代替として鬼を滅するための手段が、鬼に対抗しうる猛毒。彼女は鬼殺隊の中でも非常に珍しい、鬼を殺すための毒の開発に成功した希少な才能を持つ剣士でもあるのです。
鬼の首を落とせるほどの筋力が持てない分、別の方法を模索したしのぶ。結果彼女はこの鬼殺隊という組織で唯一無二の才覚を発揮し、組織全体に大きな貢献をもたらす人物ともなりました。
ですが彼女にとっては、直接的に間違いなく一瞬で鬼を殺すことができる「首を斬る」方法が取れない自分が、圧倒的なコンプレックスであったことは間違いありません。
しかしそれでもしのぶは、鬼殺隊最強である柱の称号を冠する剣士の1人にまで事実上り詰めています。
なぜ彼女は首が切れないという致命的なコンプレックスを抱えながら、そこまでの地位に上り詰められるほどの実力を得たのか。
それはひとえに愛する家族を鬼に殺された、並々ならぬ復讐心によるものでした。
たった独り遺された彼女には、例えそれが死んでいく姉や両親の願いだったとしても。
犠牲になった家族や鬼の存在を忘れ、ひとりのうのうと幸せに生きていく選択肢などはありませんでした。
ですがきっと多くの人が、そんな痛々しいほどに必死な彼女を見て思ったことでしょう。
どれだけ修行を積んでも、どれだけ体力を付けても、元があの小さな体では鬼の首を切る事はきっと到底難しいだろう、と。
誰あろう彼女を一番に思っていた姉・カナエですら。はっきりと名言こそしませんでしたが、死に際に「しのぶは自分を殺した上弦にはきっと敵わないだろう」と考えていました。
だから彼女は、鬼殺隊として歩み続けるしかありませんでした。
人の何十倍、何百倍もの努力と鍛錬を重ね、首を斬れずとも鬼を殺す術を生み出し、見事姉の後を継いで柱にまで上り詰めた胡蝶しのぶ。
彼女が抱えていた苦しみ、辛さ、そして憤怒と執念。
それは到底私たちには想像も付かないほどの、激しく大きな激情だったのではないかと思います。
そんな彼女の価値観を何よりも体現したのが、姉の敵となる上弦と対峙した際のこの台詞です。
難しい言葉も一切ない、あまりにも完結で端的な言葉。
ですがこのたった一言は、彼女がその小さな身体に背負っていた、あまりにも大きすぎる苦しみと激情を痛々しいほどに感じさせる、そんな台詞なのではないでしょうか。
(執筆:曽我美なつめ)
鬼殺隊の主軸となる”柱”のひとり。
冨岡とともに那田蜘蛛山へ向かう。
(公式サイトより引用)
スタッフ
原作:吾峠 呼世晴(集英社ジャンプ コミックス刊)
監督:外崎春雄
キャラクターデザイン:松島晃
アニメーション制作:ufotable
キャスト
竈門炭治郎:花江夏樹
竈門禰󠄀豆子:鬼頭明里
我妻善逸:下野紘
嘴平伊之助:松岡禎丞
宇髄天元:小西克幸
(TVアニメ『鬼滅の刃』遊郭編公式サイトより引用 https://kimetsu.com/anime/yukakuhen/)
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