numan編集部
声優、アニメ、舞台、ゲームまで!オタク女子のための推し活応援メディア
日本でも『おっさんずラブ』や『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』を始めとするBLドラマの大ヒットに始まり、『美しい彼』や『みなと商事コインランドリー』などBLコミック原作ドラマが続々と制作されています。
まさに空前のBLドラマブームともいえる現在、中でもいち早く世界に向けてBLドラマを売り出していったのは実は台湾。
台湾BLドラマの金字塔ともいわれる『HIStory』シリーズや、日本でも人気の高い『We Best Love』シリーズの買付を担当し、
『Be Loved in House 約・定~I do』、
『隔離が終わったら、会いませんか?』、
『正負之間~Plus & Minus』と
3作品のBLドラマでプロデューサーを務めたアニタ・ソン(宋鎵琳)さんに、台湾BLドラマの変遷、ドラマ制作についてお話を伺いました。
日本語で制作側の思いが聞ける機会は超貴重! 各作品の制作秘話も……。
学生時代、リー・グオショウ(李國修)氏に師事し演出を専攻。その後日本に二度の留学を経験。
日本で就職し、『HIStory』シリーズや、日本でも人気の高い『We Best Love』シリーズの買付を担当。
『イタズラなKiss~Miss In Kiss』、『Life 線上の僕ら』など多くのドラマ制作にも携わる。
現・株式会社ビデオマーケットチーフプロデューサー。
INDEX
アニタ・ソン(以下、同) 2017年の『HIStory』シリーズ(※)の第一弾ですね。
※『HIStory』シリーズ……2022年現在、4シリーズ・8エピソードが公開されている台湾BLドラマシリーズ。
2017年公開の第1弾は「マイ・ヒーロー」「離れて、離さないで」「ボクの悪魔」の短編3話で構成。アーロン・ライ(賴東賢)はこの「マイ・ヒーロー」で主演し、「BLの天才」とも呼ばれている。
私、BL全然知らなかったんですよ。腐女子でもないし、マンガも読んだことがない(笑)。
『HIStory』を劇場公開したときに客層を見て「女性のファンが多いんだな」と思ったぐらいで。
ただ、周りにBL好きな人が居て、BL作品を日本で配信したいって盛り上がっていたんです。
私の友人も、もともと日本のアイドルが好きだってことは知っていたんですが、家に行ったら本棚にはBLコミックがぎっしり(笑)。
私にBLの世界を教えてくれたのは、そういった周囲の人やファンの方たちです。
その後『HIStory2』(※2)を手掛けて、2018年にイベントを開催したんです。
(2018年DATV主催のHIStory2展。衣装展示やパネルの展示などが行われた)
※2 HIStory2……『是非~ボクと教授』『越界~君にアタック』の2作品で構成される。2018年公開。
──確かにファンとしては見ちゃいますね! もう隅から隅まで見たいですもん。
参加者の皆さんが「配信してくれてありがとう」って口々に声をかけてくださって。
熱量の高さもそうですが、こちらもすごくいいことをした気持ちになりましたね。
──確かに『HIStory』シリーズといえば、第4弾まで制作されるほどの人気シリーズです。日本で配信してくださってありがとうございます(笑)。では、現在のようにプロデューサーになったきっかけは?
もともと学生時代は演出を専攻していて、恩師の奥様(王 月さん)の関連で『流星花園』(※3)の現場にも参加させていただいたりして。
※3 神尾葉子氏のマンガ『花より男子』を原作とした台湾ドラマ。王 月氏は本作品で、主役・牧野つくしの母を演じていた。
2度めに日本に来日した時も、映像プロデュースを学んだんです。日本の映画も大好きなので、いつかは自分もやってみたいとずっと思っていました。
他にも『イタズラなKiss~Miss in Kiss』『Life 線上の僕ら』(※4)の制作にも一部関わりました。
※4 『イタズラなKiss~Miss in Kiss』……多田かおる氏の『イタズラなKiss』が原作の台湾ドラマ。
『Life 線上の僕ら』……常倉三矢氏の同名作品が原作のBLドラマ。『HIStory3 那一天 ~あの日』主演CPの特別出演も。
きっかけは、もうコロナですね。
日本はプラットフォーム間の競争が激しくて、コンテンツの調達だけでは厳しい側面があります。やはりオリジナルコンテンツを制作していかないとならない。
そんな中で、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、在宅勤務になったんですね。もともと台湾に帰る予定だったので、それを契機に少し早めに台湾に帰ったんです。そうしたら、日本に戻れなくなった。
でもまだ台湾ではそれほど行動制限が厳しくなかったので、ではBLドラマを作ろうと。
やはり『HIStory』シリーズの成功が大きかったんですよ。
BLドラマが商業的に成り立つということがあの作品で分かったからこそ、BLドラマの企画がすんなり通ったんですね。
『約・定』の企画はそこから始まって、プロデューサーをやりたいと手を上げました。
※5 『We Best Love 永遠の1位/2位の反撃』……2021年1月より日台同時配信されたBLドラマ。
台湾も同じですね。ただ『HIStory1』の時はオーディションに来てくれた俳優は少なかったとプロデューサーから聞きました(笑)。
記者会見も全然人が集まらなくて。やはり皆BLを知らなかったから。
それが『約・定』のオーディション時には、書類選考した上でもさらに50~60人くらいが参加してくれたんです。もう『HIStory』様々ですよね(笑)。
──それはすごい! 『約・定』では、アーロン・ライ(賴東賢)さんとハンク・ワン(王碩瀚)さんが主演の金石CPを演じられましたね。お二人もそのオーディションで選ばれたのでしょうか?
はい、アーロンとはそれまでは全く面識がなかったんですが、オーディションに参加してくれて。
──アーロンさんは『HIStory マイ・ヒーロー』でも主演されていますよね。
そうなんです。だから一度BLドラマで主演しているのに、どうしてまたオーディションに来てくれたんだろうって思ったんですよ。
でも彼に聞いたら「前作から4年経っているし、俳優として演じたい役があれば、もう一度主役をやりたいんだ」って。
もう感動しましたね。
──アーロンさんご自身は、別のインタビューで「オーディションでは自信がなかった」と。
そうなんですよ! 別に冷たくした覚えもないのに不思議です(笑)。
オーディション時にアーロンが登場した途端、その場のスタッフ全員「おおーーーっ!」って。
もちろん事前に彼が来るとは分かっていたわけですが、やはり圧倒的な存在感がありました。
それともう一つ、彼の場合は2019年に事故にあい、そこからまた回復してきたという経験がある。だからこの仕事を大事にしてくれるだろうと思いました。
主人公のジン・ユージェン(金予真)役を彼に決めた後で、脚本に傷跡のエピソードを追加しました。
──お二人ともすごくオーラが違ったんですね。大勢の方が参加されたオーディションでしたが、その中でこの二人に決めようと思われた理由はあるんですか?
彼らのケミストリー(相性の良さ)ですね。
二人で並んだ姿に自分の心が動くかどうかをまず見ます。
オーディションの時には、相性が良さそうだなと思った方たちに、実際触れる寸前くらいまで顔を近づけてもらって写真を撮るようにしています。写真を見て、この二人は合うな、いいな、と感じる方を選ぶんです。
說到做到
我來還債了各位
而你們欠的債就是看《約定之後》!
記得要還喔😉 pic.twitter.com/1htlaDOXaX— 賴東賢 Aaron Lai (@AaronLai0224) August 1, 2021
やはり中には抵抗の強い方もいるので、相性の良さは絶対必要です。
お互いにキスできないと無理ですからね。
オーディションで候補を絞り込んだ後、ワークショップをやって仲良くなれるかもみますね。
『約・定』の12話で、ようやく思いが通じ合った金石CPが……というシーンがありますが、あの撮影の時、私もドキッとさせられたんですよ(笑)。
あのシーンは、実は台本上では詳しく指定があるわけではないんですね。
だから撮影前に私とアーロンとハンクの3人で狭い移動車の中で、どうしようかと話し合って。
指示をしたのは、最後の二人で目を見交わして微笑み合う部分くらい。あのシーンのほとんどは彼ら2人が作り上げたんです。
実際の撮影時には、二人のビジュアルと相性の良さも相まって「美しい!」って。初めてBLドラマでドキドキしたかもしれません(笑)。
──あのシーンは本当に美しいですよね! 『約・定』では、ビジュアルもそうですが、同時に映像がとても明るくて透明感があり、美しいと感じます。
実は、最初の作品ということもあって非常に予算が少なくて(笑)。
後から映像を修正するにはコストがかかるから、なるべく最初から明るく撮ろうと。
撮影場所も自然光が入る場所だったのと、晴天にも恵まれて、美しく撮れましたね。
──あの映像美が予算の制約からくるものだったとは、驚きです。
そうです。キャストもなるべく少なくして、エキストラも雇えないくらい。カフェのお客も実はスポンサーなんですよ。
でもなるべく削ぎ落としてシンプルに作った分、一人ひとりのキャラクターを掘り下げて描くことができました。シンプルだからこその良さですね。
次回、第2回では、世界初!?のリモートBLドラマとなった『隔離が終わったら、会いませんか?』の制作秘話や、『正負之間~Plus & Minus』の不思議な運命の話など盛り沢山でお届けします!
お楽しみに♪
◆第2回「主演を待っていた──運命の二人!?」ドラマPDに聞く台湾BLドラマ制作の裏側~アニタ・ソンさんインタビュー
https://numan.tokyo/interview/TSpaf
◆第3回「台湾はアジアBLの先駆者かもしれない」ドラマPDに聞く台湾BLドラマ制作の裏側~アニタ・ソンさんインタビュー
https://numan.tokyo/interview/6upa8
監督:ジアン・ビンチェン(姜秉辰)
脚本:ジーディエン(季電)
エグゼクティブプロデューサー:スコット・ワン (王信貴)
プロデューサー:アニタ・ソン(宋鎵琳)
コンテンツ顧問:キム・キョンウン(金京恩)
原題:「Be Loved in House 約・定~I Do」
邦題:「Be Loved in House 約・定~I Do」
話数:全12話(各話約23分)+番外編
配信ページ
Rakuten TV:https://tv.rakuten.co.jp/special/blih-ido/
ビデオマーケット:https://www.videomarket.jp/title/415024
© 2021“Be Loved in House - I Do” Partners All Rights Reserved.
numan編集部
声優、アニメ、舞台、ゲームまで!オタク女子のための推し活応援メディア
この記事に関連するタグ
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合がございます
特集記事
ランキング
電ファミ新着記事
2024.11.1