2001年~2010年に『月刊少年ガンガン』にて連載されていた、荒川弘先生による『鋼の錬金術師』(通称:ハガレン)。
連載当初も大人から子どもまで、幅広い世代のファンに熱い支持を受けていた本作。
2021年には発行部数が8000万部を突破し、今年2022年には実写映画版の完結編が上映。さらに同年モバイルアプリも登場するなど、連載完結から10年以上が経った今でも多くの話題を呼んでいます。
『鋼の錬金術師』1巻 (スクウェア・エニックス)
via 『鋼の錬金術師』1巻 (スクウェア・エニックス)
そんなハガレンの大きな魅力のひとつが、作中にたくさん散りばめられた金言・名言です。そこで今回は時代を越えて、まだまだ大勢に愛され続ける本作に登場する名セリフをピックアップ。
「君のような勘のいいガキは嫌いだよ」など、もはやネットミームと化した有名セリフも存在しますが、本記事では日常に生きる私たちに大きな勇気を与えてくれるような名言をご紹介します。
【1】絶望の中でも足を止めるな――主人公・エドの心に刺さる台詞
『鋼の錬金術師 完全版』1巻 (スクウェア・エニックス)
via 『鋼の錬金術師 完全版』1巻 (スクウェア・エニックス)
立って歩け 前へ進め
あんたには立派な足がついてるじゃないか(荒川弘『鋼の錬金術師』1巻より引用)
まず最初にご紹介したいのは、大勢のファンに未だに根強い人気を誇る特に有名なこちらの台詞です。
エルリック兄弟が本編最初に解決した、カルト宗教の悪事を暴いた事件。結果として二人は大勢の人々を救いましたが、解決直後には信じていた宗教の教祖の裏切りに、希望を失った信者も多数存在しました。
その中の一人であり、教祖の真の顔を知ったことで一時的に生きる望みを失ってしまった少女・ロゼ。絶望のあまり「これからどうやって生きていけばいいのかわからない」と泣き喚く彼女に対し、兄・エドワードが放ったのがこの言葉です。
「死んだ最愛の人が戻ってくるかもしれない」という彼女の大きな望み。それが潰えたロゼの姿は、数年前に最愛の母の練成に失敗し、加えて
身体まで奪われた兄弟の姿と、非常によく似ています。
その絶望の渕から、それでも立ち上がり歩き続ける二人。このセリフはそんな彼らが口にするからこそ、重みのある言葉でもあるのでしょう。
彼ら兄弟が歩んできた道は、そしてこれから歩む道は、その年齢には似つかわしくない業の道です。
彼らほどではなくとも、それでも今まさに自分の叶えたい望みに向かって厳しいいばらの道を歩んでいる。
そんな人々の背中も押してくれる言葉でもあるのではないでしょうか。
【2】「ありえないことはありえない」を体現…最後まで諦めないアルの名台詞
『鋼の錬金術師 完全版』2巻 (スクウェア・エニックス)
via 『鋼の錬金術師 完全版』2巻 (スクウェア・エニックス)
あのさぁ なんで二択なの?
「元の身体に戻って皆を救えない」のと 「元の身体はあきらめて皆を救う」のふたつだけじゃないだろ
なんで「元の身体を取り戻してかつ皆も救う」が選択肢に無いんだよ(荒川弘『鋼の錬金術師』23巻より引用)
また敵であるホムンクルスとの激闘の中、弟のアルフォンスが口にした上記の台詞も多くの読者をドキリとさせた一言なのではないでしょうか。
大勢が常識的に無理だと考えたことでも、彼らは最後まで「ありえないことはありえない」を信じ、結果として自分たちの望む未来を手に入れられました。
最後まで諦めない強い意志。それがあったからこそ、彼らは最後に真理の真理へとたどり着いたのです。
『鋼の錬金術師』23巻 (スクウェア・エニックス)
via 『鋼の錬金術師』23巻 (スクウェア・エニックス)
彼らが立ち向かったものほど大げさな選択ではないかもしれません。ですが
「どちらかしか選べない」という悩みは、普段の日常生活でも身に覚えのある人もきっと多いはず。
現実的な生活か、叶えたい夢か。自分のやりたいことか、やるべきことか。そのふたつは本当に、どちらかを諦めなければいけないことなのでしょうか?
人々の生活スタイルや価値観は、ここ数年で多様性がどんどん進んできています。
これまでの固定観念を取り払い、働きながら趣味に勤しむ人、家族を大事にしながら自分の夢に挑戦する人も、近年でずいぶん増えましたね。
わがままだとしても両方を手に入れたい。その為に努力する人の背中を、大きく押してくれるのが上記の台詞ともなっています。
【3】兄弟の師匠・イズミに学ぶ…迷った時の指針となる心に響く名台詞
『鋼の錬金術師 完全版』5巻 (スクウェア・エニックス)
via 『鋼の錬金術師 完全版』5巻 (スクウェア・エニックス)
貴方自身を信じなよ 貴方の魂に恥をかかせない生き方を選べばいいじゃない(荒川弘『鋼の錬金術師』24巻より引用)
そして最後にご紹介したい名言が、エルリック兄弟の師匠・イズミのこちらの台詞です。
混沌とする人間VSホムンクルスの戦い。その中で多くの兵士が従っていた国の最高指導者が、まさかの敵であることが明らかともなります。
大事な人を守るための戦いが、結果として自分たちの首を絞める行為になる――。戦争の中で、誰が正義か悪か。何も信じられなくなった一般兵士に対し、彼女が放ったのがこの言葉でした。
『鋼の錬金術師』24巻 (スクウェア・エニックス)
via 『鋼の錬金術師』24巻 (スクウェア・エニックス)
どれだけ人のせいにしても、自分の過ちも後悔も肩代わりしてくれる人は存在しません。自分の人生の責任を取れるのは、誰でもない自分自身だけです。
その中でもこれは自分が決めたことだと胸を張って言えたなら、少なくとも自分が歩んできた道に後悔だけはしないのではないでしょうか。
どれだけ思い悩んでも人生に後悔は付き物。ならばそれをできるだけ減らすように生きる。
それこそが、人生を生きやすくなるヒントのひとつなのかもしれませんね。
生き様をつらぬく力強い言葉が勇気をくれる!
日頃日常を生きる私たちにも勇気をくれる名言が満載の『鋼の錬金術師』。
キャラ一人ひとりが自分の信念を信じ、世の中の不可能や不条理に立ち向かい、その未来を変えていく。
その生き様が今もなお、こうして多くの読者の胸を熱くすることが、長年愛され続ける本作の大きな魅力でもあることでしょう。
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