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今回は少し趣向を変えて、1つの楽曲ではなくアーティストそのものについて語りましょう。
本日取り上げるのは、今や国民的アーティストともなった米津玄師さんです。
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そのため、ドラマ『ウチの娘は、彼氏が出来ない‼︎』(日本テレビ系)内で発言された「オタクなのになんで米津玄師歌うの?」というセリフは各方面で話題となりました。
これには「いや、オタクだからこそ米津玄師歌うでしょ」というツッコミも大勢のネットユーザーから入り、一時期SNS上をザワつかせる事態となったのです。
オタクの中には一定層「有名になったから興味がなくなった」「売れ始めてからイマイチになった」と、いわゆる逆張りをする方が多いのもまた事実。
ですがその中でも米津玄師さんはいわゆる歴10年を超える古参オタクにも、最近オタク文化に触れ始めた人にも、共通して愛され続けている、非常に稀有な存在です。
そしてそれらはアニメやマンガなどの二次元に関わらず、音楽や映画、読書など、ジャンル不問の、主にカルチャーに纏わる創作作品を愛する「広義の意味でのオタク」が共通して持つ、思考活動の欲や知的好奇心を酷く刺激されるものでもあるからです。
ニコニコ動画に現存するハチ楽曲のうち、2作目となる『Persona Alice』や5作目の『Qualia』、14作目の『リンネ』。
これらの曲には、哲学で人格を意味する言葉である「ペルソナ」、意識や経験による感覚を示す言葉の「クオリア」。
そして仏教に由来する言葉である「輪廻」などのワードがタイトルにも冠されていますね。
このような、楽曲の中にオリジナリティのある世界観の物語を込める手法。これもまた想像や考察が捗る、オタク受けの良い1つの方法でもあるでしょう。
⇒次ページ:“米津玄師”に残る、“ハチ”の欠片
同時に、今のような国民的アーティストとなっても。彼自身の根幹に纏わるテーマや主題は、昔と変わらないものも多くあるのでしょう。
ドラマ主題歌として一躍話題となった『感電』。閉園間近の遊園地で撮影したMVは、ハチ名義の楽曲『clock lock works』のサムネイルを彷彿ともさせます。
そして『僕のヒーローアカデミア』アニメ主題歌となった『ピースサイン』。
これはヒーローを主題としたハチ名義の『パンダヒーロー』、そして少年マンガが題材の『ドーナツホール』を書いた彼に、まさしく相応しいタイアップでもありました。
アマチュア時代から大きな進化を遂げた一方で、それでもなお変わらないハチ時代の彼の姿が、今の米津玄師さんの中にも確かに生き続けています。
(執筆:曽我美なつめ)
作詞、作曲、絵
1991年3月10日生まれ
徳島県出身
代表曲に『パプリカ』『Lemon』『ピースサイン』『馬と鹿』『Flamingo.』など。
2009年より、”ハチ”名義でニコニコ動画へオリジナル曲を投稿し始め、「マトリョシカ」「パンダヒーロー」「結ンデ開イテ羅刹ト骸」等の作品を発表。VOCALOIDシーンの中で、中毒性のあるロックサウンドで存在感を切り開いていき、日本だけでなく世界からも注目されるという、群を抜いた実績を誇る。また、イラストと映像も自身で手掛けている。ハチ名義では2010年に2枚のアルバム「花束と水葬」「OFFICIAL ORANGE」をリリース。
2012年には、本名の “米津玄師” 名義で、自身がボーカルをとったアルバム『diorama』をリリース。 その独特なサウンドメイクをした楽曲の強さと、リアルな言葉の数々は圧倒的で、今の音楽シーンにはない新鮮さを鮮烈に刻み話題に。全曲に渡り、作詞・作曲・アレンジ・プログラミング・歌唱・演奏・ミックスを自身で手掛けているのに加え、動画・アートワークも独りで制作するという、驚異の才能を見せる。
(公式サイトより引用)
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