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「サカバンバスピス」(さかばんばすぴす)とは、絶滅した海洋生物の一種。
オルドビス紀(およそ4億8830万年前から約4億4370万年前まで)に生きていたとされる。ヌタウナギやヤツメウナギと同じ無顎類。
体長はおよそ25cm、生息地は南半球の浅海と推察される。
ヒレのない楕円状の身体に、逆異尾という特徴的な尾を持つ、オタマジャクシのようなシルエットをしている。両目は身体の正面に並んでおり、両目の隙間にふたつの鼻腔があった。その直下に半月状の口があるが、顎がないため口を閉じる動作が難しく、後述する模型やイラストはポカンと開いた状態が多い。
身体の形状から、あまり泳ぐのは上手くなかったとされる。
2022年8月に、SNSにサカバンバスピスの復元模型が掲載され話題に。
フィンランドのヘルシンキ自然史博物館に展示されている本模型は、独特のシルエットに加え、前述の顔立ちがなんとも言えない表情を浮かべているように見えた。
2023年6月に、インターネット掲示板「ふたば☆チャンネル」で紹介されてからは、日本のユーザーによる認知度が急上昇。ネットメディアや動画で紹介されたり、イラスト化されたり、『サカサカバンバンバスピスピス』というタイトルで楽曲がリリースされたりと大ブームになった。
TVアニメ化された人気コミック『おでかけ子ザメ』でも、「子ザメとサカバンバスピス」というイラストが発表されている(※1)。
顔文字は「(◉▽◉ )」、あるいは尾をつけた「(◉▽◉)◁」が主流である。
このような話題性から、現在若者への訴求力が非常に高い存在である。
2023年7月から10月まで国立科学博物館で開催される特別展「海」の公式SNSには「実は、サカバンバスピスの仲間・無顎類の化石標本も出ていますよ。あなたは見つけることはできるかな?」という投稿もされており、界隈からの注目度の高さがうかがえる(※2)。
特徴的な名前は、初発見されたボリビア共和国の村の名前「サカバンビラ(=Sacabambilla)」と、ギリシャ語の「盾(=aspis)」から付けられた。
「サカバンバスピスがかわい過ぎてやばい。フィンランドに会いに行きたい」
「推しとサカバンバスピスのイラストを描きました」
「サカバンバスピスみたいな顔しやがって……」
「近所にサカバンバスピスのグッズが売ってて買っちゃった」
「サカバンバスピス顔に癒やされる」
「夏コミにサカバンバスピスのコスプレがいた」
▼日本でのニーズ
特徴的なルックスや名前から、日本ではゆるキャラのような立ち位置になっている。
以下は主な展開例。
・イラストレーターによるキャラクター化
・自作のフィギュア、ぬいぐるみ、ネイルアート化
・3Dモデルを作成し、ダンス同化を作成
・既存のキャラクターと並べファンアートを描く
▼実は重要な存在
ファニーな見た目で、ネットミーム的に愛されているが、実は生物研究においては重要な存在でもある。東京都市大学で古生物学を研究する中島保寿准教授は、「原始的な脊椎動物の一つで、人類を含む脊椎動物の進化を解明する上で重要な生物」と語っている。
現在はインターネット上のゆるキャラのような扱いになっているものの、これについても中島教授は「日本では古代の魚類を研究している学者は多くなく、注目を集めることも少なかった。古い魚類はわれわれ人類の祖先につながる重要な生き物。関心や知識が広がるいい機会になってほしい」とコメントしている(※3)。
※1
ペンギンボックスによる「子ザメとサカバンバスピス」
https://twitter.com/Penguinbox1/status/1667813866695442432
※2
国立科学博物館で開催する特別展「海」によるツイート
https://twitter.com/umiten2023/status/1688097578628591616
※3
2023年6月22日産経新聞より
https://www.sankei.com/article/20230622-WXJ6LSPERRFS7BCYF5D3VDDGSA/
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