【考察4】『おそ松さん』2期16話『となりのかわい子ちゃん』でトト子が泣いた理由――キンちゃんとは“誰”だったのか?

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おそ松が思う、トト子の“かわいさ”

居酒屋で、謝罪する6つ子たちに対し、トト子は「そりゃこっちのデートのほうがいいよねぇ〜。荷物持ちなんかさせるかわいくない女なんか嫌だよねぇ」と、スネたような態度を取ります。自分のことをかわいくないと言い張るトト子を、必死に「かわいい」とフォローする5人。しかし、おそ松だけが、「うん、全然かわいくない」と言い放ちます。

おそ松「どうしたのトト子ちゃん。ドタキャンそんな怒ってんの? 今日、なんかヘンだよ」

おそ松の言葉にハッとしたトト子は、店を出ていってしまいます。

これまで、6つ子はトト子をひたすら「かわいい」と評価し続けてきました。 1期4話『トト子なのだ』では、アイドルとしてのデビューコンサートのステージに現れた魚衣装のトト子に、他の観客がドン引きする中、6つ子だけは「スッゲーかわいい!」と大盛り上がり。 8話『トト子の夢』でも、チヤホヤされたいという本音を暴露するトト子に、「かわいい〜」と声をそろえてうっとり。

おそ松「いる!? こんなに本心をさらけ出す女の子!」
チョロ松「結局さらけ出すって一番かわいいよね!」
トド松「自慢の幼なじみ!」

この話のラストでは、「いつか必ずひと回りもふた周りも大きくなって、トト子は帰ってくるから!」と約束したトト子が超巨大ロボになって帰ってきたときも、「か、かわいい〜!」と大絶賛していました。

1期18話『逆襲のイヤミ』では、恐ろしい形相で「人気が欲しいんじゃァ! 出番じゃァ! 主役主役〜!」と怒鳴り散らすトト子を、

チョロ松「まずい、完全に悪魔だよ」
一松「かわいすぎる」
チョロ松「ああ、超絶かわいい!」

と評価しています。

これらのエピソードからもわかるように、6つ子はトト子の見た目だけではなく、中身もかわいいと思っていたのです。 おそ松が「かわいい」と思っているのは、自分のことが大好きで、本音をさらけ出す、ありのままのトト子。いつものトト子なら、他の女の子なんか眼中になく、ドタキャンされても自己肯定するパワーを持っているはずなのです。 まるで“普通の女の子”のようにいじけているトト子ちゃんは、おそ松にとっては確かに「全然かわいく」なんかなく、「なんかヘン」だと感じられたのでしょう。

クライマックスでトト子が泣いた理由

居酒屋を出ていったあと、川原でトド松からフォローされるトト子。「めんどくさい」と言い捨てて帰ろうとするトト子の目の前に、キンちゃんと残りの5人が現れます。そこでトト子は、キンちゃんが明日地元へ帰ってしまうこと、そのため6つ子が彼女の約束を優先したことを知らされます。その途端、トト子の目から堰を切ったように涙が溢れ出したのです。

キンちゃんと6つ子のデート現場を見た後、自分のことを「すぐプリプリ怒って超マイペース。全然かわいくない」と卑屈に評価しはじめたトト子。それは、6つ子がキンちゃんとの約束を優先した理由が、彼女が自分にない魅力を持っているからではないかと考えたからかもしれません。
1期24話『トト子大あわて』では、トト子が自分の信者として6つ子たちの顔を思い浮かべたあと、「あれー!? もしかして私の周りってロクなのがいない!? それで喜んでるってヤバいやつ!?」と焦っていました。トト子は、6つ子が彼女の数少ない支持者であることを知っています。6つ子とは、どんなトト子でもかわいいと認めてくれる人物であり、トト子が自分らしさを保つために必要な存在なのです。

ところが、6つ子がキンちゃんを選んだのは、彼女のほうがトト子よりも女性として優れていたからではなく、「明日地元に帰ってしまうから」という合理的な理由でした。
トト子が突然泣き出したのには、さまざまな理由があるでしょう。自分の思い悩みが杞憂だったことを知っての安堵と恥ずかしさ。見た目だけではなく心もきれいなキンちゃんによって、自分の弱さと向き合うことになってしまった悔しさ。誰も悪くないことを知り、やり場がなくなってしまった怒りや哀しみ。
女性の視聴者ならば、あの場面で思わず泣いてしまう理由は少なからず想像がつくかもしれません。もともと”嫉妬”や”コンプレックス”という複雑な感情を知らない、天真爛漫でポジティブなトト子だからこそ、言葉にできない感情があれだけ大量の涙となって現れたのではないでしょうか。

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